俺の恋は前途多難。
俺の想い人は、俺と同じように他の人を見とるから。
だけど・・・なんか違うねんなぁ・・・
前途多
難
の恋
音録りのために久しぶりに全員が集まったスタジオ。
と言うても今日は録ったんを確認、修正するんやけど。
京くん抜きの音やけど結構えぇ出来。
これで京くんの声入ったら最高やな、と言おうとした瞬間いつもの声。
「堕威ー!心夜くんに近付きすぎぃ!」
「めっちゃ離れとるがな!」
「さり気無く近付いてたじゃん!」
「明らかに3メートルは離れとるわ!」
どこから現れたのかは俺をビシィッっと指差してそう言うた。
相変わらず元気やねんなぁ。
が俺に詰め寄ってくるのとほぼ同時に、後ろから心夜の声がした。
「二人とも何しとるん?」
「心夜!ちょぉ聞いてや!の奴がな・・・」
「堕威ぃ!!し、心夜くんおはよう!!」
明らかに挙動不審な。
それさっきも聞いたよって笑う心夜。
が来るようなってから心夜はよう笑うようになった。
以前はにこりともせぇへんかったのにな。
それはえぇ傾向かもしらんけど・・・何か・・・なぁ・・・
隠さんでも、俺はが好きや。
ちっこいくせに負けん気が強いとことか天然なとことか。
とにかくむっちゃ可愛えねん。
出来ることなら今すぐ告って彼女にしたいとこ(振られるっちゅうのはナシな)。
でも難点が一つ。
は心夜が好き。
しかも・・・は俺も心夜が好きなんやと思っとるんや。
こんな阿呆な話があってたまるかい。
何が悲しゅうて男・・・しかも心夜やねん。
「最近二人、仲えぇね」
「へ?二人って・・・私と堕威?!」
「そー見えるか?!実はそうんなんやって!俺等・・・」
「全然仲良くなんてないよ!!堕威がくっついてくるだけ!!」
「・・・」
そんな力いっぱい否定せんでもえぇやん。
そらは心夜に誤解されたないかもしらんけど、俺かて・・・
しかも俺がくっついてくるだけって何やねん!
いっつも先にちょっかい出してくんのはの方やろ!
はぁー・・・いろいろと凹むわ。
凹んだ俺をよそに、心夜は薫くんに呼ばれてブースに入っていった。
別れ際にじゃあね、とに言葉を残して。
絶対の顔ユルんどるわ、今。
とりあえずこれ以上凹まんでえぇようにの顔は見らんでおこう。
「はぁ〜・・・今日の心夜くんもカッコイイ・・・」
「別に昨日と変わらんやん」
「はぁ?!何言ってんの?!全然違うじゃん!」
「全然違たら唯の別人やろ!」
「堕威には恋する乙女の気持ちが解んないの?!」
「んなもん解るかぃ!」
「・・・堕威・・・ヤキモチでしょ?」
「・・・はぁ?!」
「私が心夜くんと話してるの見て、私に嫉妬したんでしょー?」
「何で俺がに嫉妬でなあかんねん!」
「だって私と堕威はライバルだから!!」
こいつ正気か?
俺のどこ見てこんなこと言いよんねん。
つーか男の俺が男の心夜を好きっちゅう事はどうでもえぇねんな。
ある意味大物やな。
いや、心夜に恋愛感情なんて持ってへんねんけどな。
の偏見を持たへん柔軟なとこ、やっぱ好きやなぁ。
俺は心夜がいなくなった部屋で椅子に座るように促した。
はありがとうと微笑むと近くの椅子に腰掛けた。
にココアを渡しつつ自分にコーヒーを淹れる。
ココアの甘い匂いがする。
俺はココアに口付けるにふと尋ねてみた。
「なぁ、何で俺が心夜好きなんやて思うん?」
「う〜ん・・・いっつも見てたから」
「誰が誰を?」
「堕威が心夜くんを」
見てへんわ!
とりあえず力いっぱいツッコミたい気持ちをギリギリで押さえる。
右手に持った苦いコーヒーで出かけた言葉を飲み下した。
ここで関西弁仕込みのツッコミは厳禁。
怒らしたら何もならんしな。
「私が心夜くんと話してるとね、絶対視線感じるの」
「はぁ・・・それで?」
「視線の先には絶対堕威がいるんだもん」
「で?」
「だーかーら!堕威はいつだって心夜くんを見てたんでしょ?」
「はぁ?!」
「照れなくても良いよ!その気持ち解るもん!」
「えーっと・・・」
「気付いたら目で追っちゃうんだよね、好きな人のこと」
「・・・」
「ねぇねぇ、堕威は心夜くんのどこが好きなの?」
あぁ、神さん、おるなら答えてや。
この女はどこまで阿呆なんですか?!
普通の女やったら『え?私の事見つめてるの?!』とか思うやろ。
『もしかして堕威さん、私のこと好きなのかしら』とかな。
それをどー考えたらそんなおもろい結論になんねん。
俺が見とったんは心夜やなくてお前やっちゅーねん!
心夜と嬉しそうに話すお前を穴があくくらいじーっと見とったわぃ!
たまーに、こっち向けーとか変な電波飛ばしたりしてな。
鋭いんか鈍感なんか・・・何か切ななってきたわ、ほんまに。
「堕威ー?聞いてるー?」
「お、おぉ。で、何やったけ?」
「もーしっかりしてよ!堕威は心夜くんのどこが好きなのかって話だよ!」
「・・・はぁー?」
「もぅ、照れなくても良いってば!教えてよー」
いや、照れるも何も惚れてへんっちゅーねん。
そんな興味津々な顔されても何も出てけぇへんで。
あー堕威くんピンチ、ちゃん、勘弁して下さい。
「お、俺はえぇねんて!は?はあいつのどこが好きなん?」
「え?!わ、私?!えーっとねぇ・・・」
オーノー・・・俺の阿呆。
別にが心夜を好きな理由なんて聞きたないわ。
しかもごっつ嬉しそうな顔しとるしな。
これってどーよ?
「女の子みたいに綺麗なのに本当はずっごくカッコよくて・・・」
「はいはい・・・」
「冷たそうに見えるけど、ホントは優しくて・・・」
「いや、あいつは冷たいで・・・」
「こないだ私が指怪我した時も、消毒までしてくれたり・・・」
「バンソウコウ巻いたんはセクシャルやけどな」
「動物大好きだし・・・」
「自分ちの犬だけやろ」
「とにかく素敵じゃない?!」
そんな目ぇキラキラさせんで下さい。
さすがの俺も凹むで、ほんまに・・・。
そんなベタ惚れ見せ付けられたら俺、どないしたらえぇねん。
「で、堕威は?次は堕威の番だよ」
「・・・アホみたいに気ぃ強いとこ」
「うんうん、あとは?」
「負けず嫌いで、人によって態度変えたりせぇへんし・・・」
「なるほど」
「勘はえぇのに妙なとこで鈍感なんやけど・・・」
「だけど?」
「そーゆートコが可愛ぇ」
絶対に俺等の前で媚びたりせぇへん。
いつだって同じ位置におってくれる。
心夜顔負けの負けず嫌いで意地っ張りやし。
人の話全く聞かへんで暴走するときもあんねんけど。
それでも可愛ぇ女の子の部分もあるわけで。
なぁ、誰のことか解っとるんか?
「何ちゅーか・・・全部好きやな」
そう、全部が好きや。
勘違いで阿呆なこと言い晒しよんのさえ可愛思えてくる。
もうベタ惚れやな、俺も、に。
「そっかぁー・・・堕威の目には心夜くん、そんな風に映ってるんだね」
映ってへんっちゅーねん。
俺が恥堪えて話したんは全部お前のことや!
自分の事言われとんのに気付かんのかい。
あーこのまま好きな女と男取り合いしとってええんか、俺。
勝っても全然報われへんやんか、特に俺が。
間違いなく振られるんやけど、ここは男見せとくべきか?!
このままホモやと思われるよりえぇんとちゃうか?なぁ?
「あんなぁ、俺が好きなんは・・・」
「解ってるよ!ちゃんと解ってるから!」
「へ?」
「改めて言い直さなくても、堕威が心夜くん好きだって、ちゃんと解ってる!」
解ってへんがな!!
誰かこのアホの子教育し直したってやー!!
あかん、このまんまじゃあかんやろ、堕威!
ここはいっちょ男見せたろーやないか。
ご先祖様、俺の明るい未来の為に力を貸したって下さい!
このまんまじゃ俺、子孫残せません!
漢、堕威、行きます!!
「あんな、!俺が好きなんは心夜やのうて・・・!」
「あ、心夜くん!おつかれさま!」
「おつかれサマ。また二人で何話しとったん?」
「別に何でもないよ!ほら、暇だったし・・・!」
この世には神も仏もおらへんのやな、よぉー解ったわ。
もう今度から絶対初詣も行かへんわ!
先祖の墓参りも行かへん!
俺が子孫残せへんかったらこいつ等のせいや!
いや、墓入った後が怖いし、墓参りは行っとこかな・・・。
俺は恨めしさ100%の目で俺の真後ろでコーヒーを飲む心夜を見上げた。
何んなん?!って感じの目で心夜が見返してくる。
椅子に座って上を向く俺と真後ろに立って下を見る心夜との無言の会話。
の視線が痛い。
あーもー何やねん、どいつもこいつも!!
俺は心夜やのうてが好きやっちゅーねん!!
おい、心夜!黙って目ぇ合わしとらんで何か言わんかい!
もや!人の話は最後まで聞けって小学校で習ったやろ!
しかもその敵意剥き出しの視線はなんやねん!
このアホどもがッ!!
あーもぅどーにでもなれ!!!
俺は上を向いたまま上におる心夜の首に手を回した。
逆さまやけど、この際なんでもえぇわ!
そのままぐっと下に引き寄せて無理矢理唇を重ねた。
やっぱ逆さまの唇は変な感じ・・・。
俺はパニくって固まっとる心夜にかなり長い時間口付けた。
「・・・ッ!!な、何すんねん!!!!」
「すまんすまん。まぁ、減るもんちゃうしえぇやん」
「えぇ訳ないわ!!何考えとんの?!」
「はいはい、心夜うるさい」
怒り狂った心夜に俺はもう一度口付けた。
完璧に固まった奴、1名発見、ザマーミロ。
「ちゃーん?生チュウ見たの初めてですかー?」
「私の・・・私の心夜くんのヴァージン返せぇぇぇ!!!!」
「はぁ?!そんなもん奪っとらんわ!!」
「うるさいッ!この色魔!!変態!!心夜くんの純潔を返せぇー!!!」
「純潔って・・・こいつがそんな綺麗に見えるか?」
「心夜くんは私の天使だぁー!!」
「わけわからん・・・」
「堕威の馬鹿ー!!強制ワイセツだぁぁー!!!!」
「ほな、おすそわけ」
「ッ!!!!!」
俺は殴りかかってきたの右手を引き寄せて、そのまま口付けた。
絶対また固まっとるよな、。
薄っすら目を開けてみると案の定目を見開いて固まった。
俺は苦笑いしてそのまま目を閉じた。
あーあ・・・何で俺が男とキスせなあかんかったんやろ。
心夜には悪いけど、俺かて好きでやっとんのやないし。
まぁ・・・今回のことは大目にみてもらおー。
とりあえず背中の視線が痛くてしゃーないんやけどな。
「ッ・・・だ・・・堕威ぃー!!」
「愛しの心夜と間接チューやな、おめでとサン」
「バカッ・・・バカバカバカバカバカ!!!」
真っ赤になったは腰が抜けたみたいに床に座りこんでもうた。
バカバカ連発されても涙目のせいで全然恐ない。
むしろ可愛ぇんやけど・・・俺も末期やな。
「もぅ、絶対許さないんだからッ!!」
「許さへんでえぇよ」
「謝っても許さないんだからねッ!!」
「ええよ、ずーっと怒っとってや」
「ぜぇーったい許さないもん!!」
「ええよ。怒っとる間は、覚えとってくれるんやろ?」
「・・・堕威??」
「俺、冗談でキスしたんやないから」
「解ってるよ!心夜くんの事本気で好きな・・・」
「ちゃうわ!いつまでボケかましとんねん!」
「ボケてないよ!だって堕威は・・・」
「や!!」
「・・・へ?」
「俺がキスしたかったんは、や!!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!話が解んな・・・」
「俺が好きなんは心夜やない!、お前や!!」
遂に言うてしまいました!
あーあ・・・めっちゃ困った顔しとんで、。
まぁ・・・困らせるために言うたんやから当たり前やけどな。
困ってくれるだけありがたいわ。
即振られたら立ち直れへんもん、俺。
後ろからアホらし・・・って声が聞こえた。
あーすまんかったな、心夜。
とりあえず唇洗ってそのまま全てを忘れてくれ。
今夜は飯奢ったるから、それで勘弁な!
心夜が部屋から出て行くと同時にが顔を上げた。
あーさっきより涙目や。
怒ったような、ちょっと困った目。
「わ、私・・・えっと・・・・」
「あー待った待った!別に今すぐ答え出せって言うとんのとちゃうねん」
「で、でも・・・」
「俺、今までの中で論外やったやん?」
「論外って・・そんな・・・」
「えぇねんって、別に。今から、今から俺と心夜は対等やん?」
「・・・」
「何も解らんまんま負けんの、悔しいやんか」
「・・・負けず嫌いはそっちじゃん・・・」
「まぁーな。とにかく、の恋愛対象に入れればそれでえぇねん、俺」
「・・・ちょー自分勝手・・・」
「お前だって人の話全く聞かへんやんか」
膨れっ面したも可愛えねんな。
ま、これ以上は居づらいし、早々に退散しますか。
俺が立ち上がろうとした瞬間、ズボンの裾をに引っ張られた。
危なッ!もうちょっとでコケるとこやったやんか!
「あのさッ・・・さっき言った事ってもしかして・・・」
「さっき言うた事?」
「あの・・・心夜くんの好きなとこ、の話・・・」
真っ赤になって俯く。
あー抱きしめたい!でも絶対殴られる。
この至近距離でのパンチは結構キツい。
俺は苦笑いしながらと同じ目線にしゃがんでみた。
ちょっと困ったようなの顔。
もっと困ってみせてや。
他の誰でもない、俺のことだけ考えて。
「もちろん、のことやで」
俺はありったけの意地悪さを満面の笑みで表現してみせた。
作戦成功ってとこやろか?
俺の恋は前途多難。
俺の想い人は、俺と同じように他の人を見とるから。
でもこれからどう変わっていくかはまだ解らへんけどな。
相手は天然系の手強い奴。
俺も、ちょっとやそっとじゃ諦めへんけどな。
ま、そこまで惚れ込んどるっちゅーことやな。
BE HAPPY・・・?
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
今のとこ、アンケで二番目に人気のない堕威くん夢です(笑)
この話で一番可哀相なのは、言うまでもなく心夜ですね、はい。
彼にとっては厄日だった、と言う事で。
なんと言うか・・・前回アンケで2位だったギャグ夢にしようと思ったんですよ!
玉砕ですね・・・やっぱ根暗な人間にギャグは無理っす、師匠・・・(誰)
なんか凹んできました(笑)
あ、BL好きな方には申し訳ない話です、コレ;
うん、私、BL大好きなんで!誤解しないで下さい!(笑)
少しでもお気に召しましたら感想下さるとかなり嬉しいです。
20040503 未邑拝
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