俺ってこんなロマンチストやったっけ?
      出し惜しみしとった自分の一部。























         ロマンチスト      



















      出会いは最悪やった。
      

      何の前触れもなく薫くんが連れてきた女。
      薫くん独り身かと思っとったけど、彼女おるやん。


      色白でちっこくて柔らかい感じの女。
      どっか子供っぽさが抜けきっとらんくて。 
      可愛ぇ女やなぁと思った。


      「あなた・・・ちっちゃいねぇ」


      ほんまにな、可愛ぇ顔しとんねん。
      目がくりくりしとって唇とかつやつやしとって。
      俺より背ぇ低くぅて、細っこくて。
      薫くんと並んだらちょうどえぇ身長差かもしらん。
      とにかく可愛ぇねん。


      眩暈がした。
      眩暈どころか耳鳴りもする気がする。
      聞き間違いかと思った。
      聞き間違いであってほしかった。


      「薫も華奢だけど、あなたみたいに可愛くはないもん」


      空耳か?
      なぁ、空耳か?


      薫くんはかっこよくて俺はかっこ悪い、と?
      薫くんは華奢やけど俺は可愛ぇ、と?
      薫くんは男らしいけど俺は男らしくない、と?
      薫くんは男で俺は男女や、と・・・?


      「・・・・・・それ禁句・・・」


      薫くん、もう遅いで。
      俺はこの耳でしかと聞いたわ。
      えっらいムカツク言葉をなぁ・・・


      「だぁーれが可愛ぇんじゃっ!!」


      可愛ぇゆわれて喜ぶ男がどこにおんねん!
      何で薫くんはかっこよくて俺はあかんねん!
      背か?!
      俺の背があかんのか?!あぁ?!


      「どーして怒るの?」


      「あぁ?!」


      「可愛い顔が台無しだよ?」


      ・・・カッチーン


      「可愛ぇ可愛ぇゆーなっ!」


      「褒めてるんだよ?」


      「褒められてへんがな!」


      このアホ女・・・!
      人の気持ちも考えられんのか?!
      空気を読め、空気を!


      「あ、です、私」


      「・・・はぁ?!」


      「自己紹介まだだったから」


      「おま・・・っ」


      「よろしくね?」


      誰がよろしくするか、ボケ!




















      「京くん達ってさぁー・・・どーよ?」


      「どーよって・・・」


      
      楽屋でゴロゴロ。
      の脚に頭のっけて寝るんが好き。
      やぁらかくて気持ちえぇねん。
      彼氏の特権やんな?


      「まぁーさかこんなラブラブになるとはねぇ・・・」


      「俺の彼女と勘違いしとった頃が懐かしいわ」


      「薫くん女の趣味悪いとか言ってたのになぁ」


      「えらい嫌っとったもんな」


      「俺、ちょっとちゃん狙ってたのに」


      「ムリムリ。お前の手におえる女とちゃうって」


      ドアんとこから聞こえる薫くんと敏弥の会話。
      コソコソ話が出来ひんのは子供の証拠やで。


      の脚えらい綺麗やねんな。
      せやから楽屋に来るときスカート穿かせたくないねん。
      みんなやーらしい目で見るやんか。
      欲情すんなって話や、全く。


      でもジーンズ穿かせたら膝枕んとき微妙やし。
      スベスベしとんの解れへんやんか。
      難しいとこやねんなぁ。


      「京くん・・・」


      「んぁー・・・?」


      「手・・・脚撫でないでほしいんだけど・・・」


      「・・・」


      「ねぇってば」


      「寝とるから答えられへん」


      「起きてるじゃん」


      「寝言や、寝言」


      短いスカート穿いた
      ソファーに座っとるからスカート上に上がっとんねん。
      なんか・・・こう・・・なぁ?


      スカートの間から這わせた手をペシッと叩かれる。
      ちょっとムカついて上を見たら、ちょっとムカついたと目が合った。


      「ケチケチせんでもえぇやん・・・」


      「今月は貯蓄運があるって、占いでゆってたもん」


      「何貯蓄しとんねん」


      「・・・性欲?」


      「・・・アホか?」


      性欲だけ溜めてどないすんねん。
      そんな貯蓄運いらんやろ、絶対。

  
      どーもこいつ、どっかおかしいねんな。
      巧いことゆわれへんけど、なんかおかしいねん。
      

      最初あったときもな、えらいムカツクことゆーてきてん。
      んで俺がキレとんのにお構いなしで自己紹介とかしやがって。
      頭おかしいんとちゃうかって思たもん。


      今思えば・・・それが可愛かってんけどな。


      「私がアホなら京くんはドアホになっちゃうよ?」


      「あー?何でやねん」


      「だってね、京くんよく寝言で恥かしいことゆってるよ?」


      「・・・嘘やん!」


      「ホントだってば」


      確かに俺はよー寝とる気ぃする。
      でも今まで一回もそないな話聞いたことあらへんで?!
      メンバーだってそないなことゆーたことあらへんで?!
      いや、ほんまに信じられへん。


      ドアの近くにおった敏弥と薫くんに顔を向ける。
      二人してなに笑い堪えとんねん。
      薫くんとか堪えられてへんやん。
      ちょぉマジどーゆーことやねん。


      「一昨日はねぇー・・・」


      「一昨日もゆーとったん?!」


      「うん。八割くらいの確率でゆってるもん」


      敏弥、お前笑いすぎやねん。
      薫くん、ゆーとくけどあんたの笑い声丸聞こえやで。


      どいつもこいつも気付いとったんか?!
      なんでゆわへんねん!
      つーかいっそのこと起こせっちゅーの!


      「なんかねぇ・・・『・・・一緒風呂入ろーやぁー・・・』とか」


      「・・・はぁ?!」


      「他には『足舐めんといてぇ』とか」


      「・・・嘘やん」


      「まだあるよ?『俺、チャリ乗れへんもん』とか」


      「乗れるわ!」


      「知らないよ、そんなこと」


      なんやねん、なんやねん!
      寝言ゆったってえぇやんか。
      そんなんみんなゆーとるわ。
      寝とって気付かへんだけやろ。


      俺、べっつに悪いことしてへんもん。
      おかしいことしてへん!


      「まぁーだあるよ?あのねぇ・・・」


      「だぁ!もーいいわ!」


      「えぇー・・・」


      「だいたいなぁ、お前だって人のことゆわれへんで?!」


      「もう言っちゃったよ?」


      「だーかーらー!ゆわれへんってゆーとんねん!」


      ほんま話解らへん女やなぁ。
      こいつと話すると疲れんねんなぁ。


      まぁ・・・それも可愛ぇねんけどな。


      「お前なぁ、寝とるときよー涎出とんで?」


      「うっそだぁー!」


      「ほんまやって!膝枕しとぉときヒヤヒヤやもん、俺」


      「なんでヒヤヒヤなの?」


      「お前の涎が垂れてくんのが恐いねんて!」


      「垂らしてないもん!」


      「垂れそうなんやって!」


      の膝の上での顔を見上げて怒鳴る。
      下から見上げても綺麗な顔しとんよなぁー・・・。


      よーの膝枕で昼寝すんねやんか。
      そんとき途中で目ぇ覚めて寝返り打とうとすんねん。
      したらな、たまーにも一緒になって寝とぉことがあって。
      じっと下から見つめたことが何回かある。


      綺麗に降りた目蓋。
      長いのに翳りを作るわけでもない睫。
      白い頬に掛かる俺とは違う色の髪。
      少しだけ開いた唇からは小さな寝息が聞こえる。


      正直、綺麗過ぎて言葉が出らんかった。
      何となく、ずっと見ときたい気持ちになった。
      きっと愛情があるからなんやろーなぁって。


      「京くん?」


      「・・・ぁ?」


      「マヌケな顔になってるよ?」


      「・・・うっさいわ」


      「何考えてたの?」


      「・・・別に」


      「エッチなこと?」


      「・・・アホか」


      ほんま何でこいつんこと好きになったんやろ。
      確かに顔はそこらのモデルより整っとる。
      でもそれだけやない気がする。


      黙っとけば人形みたい。 
      でも口を開けばアホなことばっかゆーし。
      空気読めへんとこあるし、人の気にしとること平気でゆーし。
      

      でも、好きやねんなぁー・・・


      「お前の涎のことや、涎の」


      「もぉー!涎のことはさっさと忘れてよ!」


      ペシッっとデコを叩かれた。
      の顔は真っ赤でちょっと涙目で。
      怒った顔も綺麗やなぁとか思った。


      どうして好きになったんやろ。
      見つめれば見つめ返してくれる存在。
      そんな風になったんはいつからやっけ?
      えらい昔のことみたいやな。


      「京くん・・・?」


      の流れる髪をそっと手に取る。
      改めて俺のもんなんやなぁって実感したりして。
      人が俺の為に存在すると考えることは傲慢やと思う。
      でもそんなロマンチックなことを考えてみたくなる。


      の膝に寝転がったまま頭をグッと引き寄せて。
      少しだけ開いた唇に自分のそれを重ねた。
      自分とは違う温かさ、柔らかさ。
      こうやってと温度を交わらせとるのが不思議。


      「ま、お前の涎くらいやったら俺が舐めたるわ」


      「・・・唾液フェチ?」


      「・・・やっぱアホやな」


      言葉の悪い俺と物解りの悪い。   
      お互いどこに惹かれたんか解れへんけど、今こうして一緒におって。
      こればっかりは理由付けできるもんでもないんかもしらんなぁ。


      好きに理由を考えたらキリがない。
      そんなこととうの昔に解っとったことやん。
      それでも理由を探してしまうのは、不安があるから。
      

      惹かれたとこが明確なら、愛が冷めることもない気がする。
      明確な理由に縋って、それに幻を見ればえぇ話やから。
      理由さえ変わらへんかったら、心変わりもせぇへんやろ。


      でも、そうやない。
      明確な理由がほしい反面、そんなもん必要ない気もする。
      俺の感情を安い言葉に押し込めたない。
      押し込めることすら出来ひんのかもしらん。
      

      「結局は、惚れ過ぎとぉっちゅーことやな」


      理由付けせんと不安定な感情。
      でも理由付けさえ邪魔な感情。
      結局は理屈じゃない。


      「涎も舐めれるくらい?」


      「ゆーとくけどな、究極の告白やで?」


      「私も京くんの寝言に相槌打てるよ?」


      「・・・はぁ?」


      「私の夢、見ててくれたら良いなぁって思うよ」


      触れるだけの軽いキスをした。
      何でこんなに甘いんやろーなぁ?


      好きだと思った。


      もし理由が要るならこれで十分。
      俺はが好きでは俺が好き。
      一緒におるのにこれ以上の理由はないわな。


      「はいはいお二人さーん。此処はどこだか解っとるかー?」


      「何処って・・・楽屋やん?」


      「はい、良いとこ気付いたな、京くん!」


      薫くん、ついに脳味噌ヤラれたか?
      ストレス多いと気ぃ狂うんやろか。


      「そこで質問。楽屋は何するところでしょう?」


      「んー・・・」


      「んーとちゃうわ!イチャイチャイチャイチャするとこちゃうぞっ!!」


      おーおーデコに血管浮き出とるわ。
      自分に彼女おらんからって僻まんでほしいわ。
      ほんまA型って融通効かへんねんな。


      「仕事せぇ、仕事をっ!!」


      「はいはいはいはい」


      「返事は一回っ!」


      「あと5分したら起きるわぁー・・・」


      あと5分。
      あと5分でとキス何回出来るかなーって。
      結構乙女チックなこと考えてみたり。


      薫くんの怒鳴り声も聞こえへんくらい自分等の世界。
      俺ってこんなロマンチストやったっけ?
      出し惜しみしとった自分の一部。 
      やから見せれるんやと思う。


      なーんてな。
























      BE HAPPY・・・?

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      相互リンク御礼でDeath Thirteenの城島月様に捧げますv
      【甘い夢】ってリクだったのですが・・・如何でしょう?
      涎に可愛さを求めた私はちょっとおかしいかもしれない気がしなくもないです(;´Д⊂)

      月様のみお持ち帰りOKです!
      相互リンクありがとう御座いました(*´∀`*)


      20050409  未邑拝



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