喧嘩するほど仲がえぇってほんまやろか。
      だってそしたら俺等、世界一仲がえぇってことやない?





















      【Q+F】
























      5割の確立でこんな1日が始まる。
      1週間で言うと約3日。
      1ヶ月にすると約15日。
      そう考えると多いほうかもしらん。



      「もー絶対作ってやんないんだから!」


      「正直な感想言うただけやん!逆ギレすんなや!」


      「そんな見た目だけで判断しなくても良いじゃん!」


      「普通レベルの見た目のモン持って来て言えや!」



      ここんとこ毎日朝から晩まで地下作業な俺等。
      毎日こうやといい加減気ぃ狂いそうになる。
      んで、地下作業ともなると外食ばっか多なって。
      飽きてくんねんな、これ。


      てな話をにしてんやんか。
      したら弁当作って来てくれるって言うてん。
      迷惑やないかって言うたら、頑張れっちゅー差し入れやって。
      可愛ぇこと言うと思わん?


      ウインナーはタコの形がえぇなとか。
      卵焼きは砂糖いっぱいの甘いやつがえぇなとか。
      おにぎりの具は食うたときのお楽しみやとか。
      まるで子供の遠足みたいにはしゃいどった。
      玲って料理得意やってんなって地味に感動してみたり。





 
      せやのに・・・これはあらへんやろ・・・





  
      気持ちが大事とかよお言うやんか。
      でもそれはあくまで普通レベルであってやねん。
      人間として赦せる範囲でも話や。
      味覚は人其々とか言うけどな、見た目では言われへんわ。
      味が想像出来ん料理ってまさにコレやな、コレ。


 
      「だーかーらっ!見た目はちょっとマズイけど味はきっと大丈夫だって!」


      「はぁ?!コレを"ちょっとマズイ”で片付けるったぁえぇ度胸しとるなぁ!」


      「味に問題ないんだったら関係ないでしょ?!」


      「こんなん口に入れるまでが嫌やっちゅーねん!」


      「じゃー目ぇ瞑って食べれば良いでしょ!」


      「そーゆー問題とちゃうわ、ボケ!」


      「ボケぇ?!まだボケてないもん!」


      「誰が痴呆の話しとんねん!」



      ほら、また話が噛みあっとらんわ。
      しかも「ボケてないもん」って、その言い方は何やねん。
      ちょこっと可愛ぇとか思ってしまったかんか。


      広げた弁当の周りで大袈裟な溜息が聞える。
      数にして約4つ。
      あからさま過ぎじゃ、ボケ。


     
      「まぁーた始まったよ・・・」


      「薫くん、止めてきたりぃや」


      「こうなったら薫くんでも止められへんのとちゃう?」


      「しかも原因が原因やしなぁ・・・」


      「確かにコレじゃ京くんが怒りたくなるのも解るかもー・・・」



      そうやねん!
      たまにはえぇこと言うやんか、敏弥。
      だってな、凄いねんて、コレ。


      メンバー全員分作ってきてくれとるから、もち重箱。
      まぁ、3段とも壮絶な出来栄え。
      密かに楽しみにしとったタコ型のウインナー。
      

 
      「きょ、京くん!ちゃんと見てみなよ!コレ巧いじゃん!クリオネ型ウインナー!」


      「と、敏弥!クリオネ型のウインナー作る奴がどこにおんねん!」


      「え?あ、そ、そうだよね!色からしてもグレムリンだよね!ごめんごめん!」


      「・・・あの阿呆・・・ッ」



      敏弥を黙らせようとした薫くんの言葉も虚しく敏弥は自信満々に言い放った。
      あっけらかんとした笑顔に呆れ返る。
      遠くで薫くんの溜息が聞えた。


      確かにこれはタコ型には見えへんわ。
      なんやろう・・・クリオネが一番近い気ぃするわ。
      横に手か羽根かよう解らんもんついとってな。
      せやけど、グレムリンには見えへんやろ。
      敏弥の思考回路も疑うわ、マジで。
      まぁ、気持ち解らんでもないから何も言われへんけどな。



      「ぐぐぐ・・・ぐれむりん・・・?!」


      「あ、いや、違うんだって!ちゃん落ち着いて・・・!」


      「これのどこがグレムリンなのよ!敏弥のアンポンタン!」


      「(アンポンタンって何?!)ご、ごめんって!ねぇ、堕威くん!」


      「はッ?お、俺?あ、そ、そやな!料理は見た目ちゃうよな!」


      「堕威ぃ〜・・・そうだよねぇ」


      「京くん!料理は見た目やない!心やで!なぁ、!」


      「アホか。じゃー食ってみぃや」


      「俺は京くんと違て紳士やからなー。んじゃ、卵焼きからイタダキマス」


      
      とか阿呆なこと言うて堕威が卵焼きらしき物体を手にとった。
      卵焼き・・・なんやろうか。
      言われてみればそう見えんこともあらへんけど・・・巻いてはないよな、うん。
      スクランブルエッグのもうちょい綺麗な感じ。
      ご丁寧に焦げ目までついとってな。
      他に卵料理あらへんから、これは間違いなく卵焼きなんやと思う。


      せやけど・・・これ口に運ぶんは至難の技やろ。
      だってほら・・・言わんこっちゃない。



      「ぅグッ!!・・・んんんー・・・ッ!」


      「せやから止めとけって言うたやん」


      「ずいばぜん・・・だじでぎでもえぇ・・・?」


      「嘘だぁー!堕威、大袈裟すぎだよ!」


      「・・・行かせてやってや・・・」



      薫くんに宥められては不満そうな顔。
      堕威くんは脱兎の如くトイレに駆け込んでった。
      お気の毒様ってことやな。


  
      「ほら、今ので解ったやろ!」


      「い、今のはたまたま失敗しただけだもん!」


      「なにがたまたまや!どっからどー見ても全部失敗やろ!」


      「そんなことないもん!」


      「じゃーお前毎日こんな料理食っとんのか?!」


      「・・・買うことの方が多いけど・・・」


      「じゃーもー大人しゅうしとけや!」


      「だって・・・」


      「だってやあらへんわ!いい迷惑やわ!」


      「京くん!」



      俺、間違ったこと言ってへんよな。
      だってどう考えたってこれ食えって方が鬼やんか。
      おにぎりとか悲惨もんなんやで?
      よう解らへんけど、コレ、出とんのタコの足やない?
      こっちはバナナすり潰して混ぜてあんように見えんのは俺だけなん?
      ここまでくると軽く殺意が感じられるんやけど。


      せやから、薫くんが俺を諌めるまで、気付かへんかってん。
      俺が、、泣かせたことに。



      「え?あ・・・」


      「もぅいいよ・・・迷惑かけて、ごめんね」


      「あ、いや、ちゃうねんて・・・・・・!」


      「もういいってばっ!」



      掴んだ腕が力一杯振り解かれる。
      その拍子に台に乗せとった弁当が音を立てて床に散らばった。
      それと一緒にの目から涙が零れる。


      
      「ご、ごめんね!後で片付けるから・・・!」



      走って部屋を出てったを追いかけることすら出来へんくて。
      一瞬、何が起きたか解れへんかった。
      ほんま、一瞬の出来事やった気ぃする。
      

      バタンと小さな音を立ててドアが閉まった。
      それと同時に薫くんと心夜の溜息が聞えた。
      そのあかあさまな態度は何やねん。
      俺が泣かしたっちゅうことかい。
      

      敏弥だって酷いこと言うたやんか。
      グレムリンやで?グレムリンはあらへんやろ。
      見えんこともなかったけど。
      堕威くんなんか吐き出しに行ったで?
      紳士やったら最後まで食ってみせぇっちゅーねん。
      ま、口に入れただけ尊敬するけど。
      あーもー何やねん。



      「ちゃんな、昨日の夜、僕んトコに電話してきてん」



      突然心夜が口を開いた。
      そう言えばコイツだけ何も言わへんかったな。


  
      「卵焼きが巧く作れへんって。おにぎりの具が決まれへんって」


      「・・・それが何やねん」


      「解れへんの?ちゃん、京くんの為に必死やねん」


      「・・・」


      「得意でもない料理作ってまで、喜ばそうとしとんので?」


      「・・・何でお前にゆわれなあかんねん」


      「京くんが解れへんからやろ」


      「・・・」


      「謝ってきぃや」


      「なして俺が・・・」



      足元に転がった弁当の残骸。
      落ちる前と後の区別がよう付かへんと思うのは気のせいやろか。
      やっぱどっからどう見ても美味そうには見えへんけど・・・



      「京くんはさ、気付かなかったの?」


     
      敏弥が足元に落ちた弁当箱を拾い上げた。
      床に散らばった中身を丁寧に拾い上げていく。
      元通りに一個一個丁寧に弁当箱に詰めていく。


      
      「ちゃんの手、バンソウコウだらけだったよね」



      薫くんが敏弥から受け取った弁当箱を俺に差し出した。
      お世辞にも綺麗とは言われへんおかずの数々。
      こんだけ作るのって、どんだけ時間かかったんやろか。
      早起き苦手のくせして朝はよから起きて作ってきてくれたんよな。
      なんで気付かれへんのやろ、俺。


      
      「よっぽど、京くんのこと、好きなんとちゃう?」



      あー阿呆は俺や。
      いっつもそうや。
      泣かしてからじゃないと気付かれへん。
      

      が一生懸命なんくらい、ちゃんと知っとお。
      それが当たり前になって、ちゃんと見えてへんのやけど。
      


      「何やねん!お前等、寄って集ってって!」


      「きょーくん!なんで・・・ッ」


      「うっさいわ!お前等に言われんでもの事は俺が一番よお知っとるわ!」



      と、早口で一気に捲くし立てた瞬間。







      ガチャ







      堕威に連れられてが戻ってきた。
      うわ・・・ナイスタイミング・・・
      今の全部聞かれたっちゅうことかい。



      「あ、あの・・・京・・・」



      絶対ハメられた!
      堕威!お前ニヤけすぎや!
      あー・・・今更何ゆったらえぇねん・・・



      「ご、ごめんね・・・私、料理苦手で・・・」


      「・・・」


      「でも、京に喜んでほしくって・・・」


      「・・・」


      
      顔の前で申し訳無さそうにモジモジ手ぇ動かして。
      よお見たら手、傷だらけやん。
      手首の方の赤いん、火傷の痕とちゃうんか?
      お前、なしてこんななってまで弁当なんか作ってくんねん。
      お前の手の身体の方が大事やろ。
      何考えとんねん、全く・・・


      大体、何で卵焼き作れへんくて心夜に電話すんねん。
      あいつがよう教えてくれるわけないやんか。
      おにぎりの具まで聞いたってことは、タコとかバナナは心夜の提案か?!
      いや、自分が食うことになる弁当にそんなもん入れさすはずないわな。
      あいつの考えとぉことはよお解れへんけど。
      でも、心夜に電話してんなや。
      ・・・ただのヤキモチやけど。
      こんなことよう言われへんけどな。


      弁当な、ほんま楽しみにしとってん。
      が作ってくれるってのが嬉しかってん。
      まぁ・・・結果はナニな感じやったけどな。
      それでも嬉しかったんはほんまやで?
      巧いことゆえへんくて、ごめんな。



      「きょ、京?!」



      俺は薫くんが差し出した弁当に手を伸ばした。
      手探りで掴んだのはバナナ入りのおにぎりと炭みたいな唐揚げ。
      俺は一気にそれを口の中に入れた。
      吐き気がしないって言うたら嘘になる。
      けど、食えんはずないやん。
      一応、材料は食いもんなわけやし。
      一応、の愛情入りなわけやし。


      
      とか強がってみてもちょっと涙出そう。
      バナナと米は混ぜたらあかんもんやん。
      新食感な上、新味覚。
      炭と化した唐揚げがちょっとばっかしマシに思えてくるから凄い。
      俺がガンになったらコイツの所為や。
      一生面倒みさそーっと。



      「今度はもっとマシなん作ってこいや!」


      「また・・・作ってきても、良いの?」


      「米にタコとかバナナとか入ってへんのやったら」


      「でも、私・・・下手くそだよ?」


      「とりあえず自分の飯で練習せぇや」


      「また、美味しくないの、持ってきちゃうかもだよ?」


      「次に巧いん持ってくればソレでチャラにしたるわ」


      「食べて、くれるの?」


      「食ったやん」


      「でも・・・」


      「また作ってきたってや?」


      「・・・うん!」



      の笑顔見たら、マズイ弁当もどうでもよくなった。
      結局はコイツの作ったもんやったら何でもえぇってことやろか。
      あーあ・・・こうやって味覚って低下してくんやろな。
      ま、えーか。


      
      「京くん達ってさ、ほんとくだんねぇ事で喧嘩するよな」


      「うっさい、黙れ」


      「喧嘩するほどなんとやらって言うけどね」


      「喧嘩ってか、一方的に京くんが怒鳴っとるだけやん」


      「心夜!思っとっても口に出したらあかんことがあるやろ!」


      「・・・薫くんもな」
      


      喧嘩するほど仲がえぇってほんまやろか。
      だってそしたら俺等、世界一仲がえぇってことやない?
      喧嘩も一種の自己表現。
      自分のこと解ってくれる奴にじゃないとこんなことゆわれへんもん。
      自分のこと解ってほしいから、怒るねやんか。
      俺等の喧嘩は愛情確認ってことでえぇか。
     

      な、



























      BE HAPPY・・・?


      ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

      5万打御礼リクで刹藍様に捧げます★
      【京さんと夫婦喧嘩は犬も食わない夢】ってことだったんですが・・・

      夫 婦 喧 嘩 じ ゃ ね ぇ ・ ・ ・ !  

      はい、ごめんなさい、書き直しはいつでも受け付けますので!
      刹藍様のみお持ち帰りOKです★貰ってやって下さい(>_<)
      リクありがとうございましたvV



      20040907  未邑拝
         
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