愛しい君だけに特別授業。
      教えてげるよ、イイコトもイケナイことも。
























      LAV STUDY
























      初めは失敗したなって思った。


      教師って職業はなかなか難しいもんで。
      たーだニコニコしてりゃーいいってもんじゃない。
      模範生徒もいれば問題児もいる。
      

      ヤンキー程度の問題児ならまだ可愛いもん。
      一番の問題は・・・勉強嫌いの奴だな、うん。
      一応教師としてはそれなりの点数は取ってもらわねぇと困るわけで。
      うーん、難しい。


      ま、よく見ればどいつもこいつも可愛い可愛い。
      今じゃそれなりに気に入ってんだけどね、この職業。


      「・・・お前この点数なんだよ・・・」


      「ぁー・・・ぅん」


      「うん、じゃねぇーだろ!何でお前は俺の授業だけいっつもいっつも・・・」


      こいつが俺のクラス一番の問題児。
      こいつは・・・は学年1頭脳明晰。
      が定期テストで90点以下取ったの見たことねぇもん。
      

      でもそれは俺の・・・数学以外の教科の話で。
      何でか数学だけは嫌味なくらい悪い点数取ってくれる。
      他の教科こんだけ出来るのにどーして?!
      新しい教師イジメだったらどーしよー、俺。


      でも一応は学校の期待の星らしい。
      このまんまじゃ俺の教え方が悪いってことになるじゃん。
      それは困る。


      「、放課後補習決定」


      「ぇー・・・」


      「えーじゃないでしょ!補習が嫌なら勉強してよ!」


      「・・・来年からします・・・」


      「それじゃ遅いし!」


      「ぇー・・・」


      「えーじゃない!とにかく今日!数学準備室集合!」


      は気のない返事をするとトコトコ席についた。
      が席についたのを見計らって周りの男が声をかける。
      俺には見せてくんない顔で笑ったり、怒ったり。
      

      俺はチャイムが鳴ると同時に教室から出た。
      ただ、なんとなく。
















      



      放課後の数学準備室なんて、テスト前でもない限り人なんて来ない。
      こっちだって仕事で忙しいんだけどさ、誰も居ないとなると結構寂しい。
      

      「失礼しまーす」


      静かな部屋にガラっと音が響く。
      開かれたドアの方を見ると、朝呼んだが立ってた。
      

      「はいはい、入っていーよ」


      「敏弥センセ・・・この部屋寒くない?」


      「そー?が薄着過ぎんじゃねー?」


      は荷物を床に置くと俺の隣の机に座った。
      紺色のブレザーの中から覗く白いブラウス。
      第二ボタンまで開いたソレから覗く白い肌とネックレス。
      制服の上から着てるのは紺色のヴィヴィアンのカーディガン。
      冬にしては薄着に見えて仕方ないし。

     
      俺はふと立ち上がって暖房のスイッチを入れた。
      普段、俺一人のときは滅多に入れないんだけどね。
      

      「ありがとう・・・御座います」


      「どーいたしまして」


      上目遣いでちょっと照れたような顔。
      はっきり言って、可愛すぎる!


      だってな、って在り得ないくらいモテんだって!
      今時にしては珍しい黒髪サラサラストレート。
      胸くらいまである髪はいつも綺麗に整えられてる。
      背はそんなに高くもないんだけど低くもない感じ。
      小さい顔に真っ黒で大きな瞳、柔らかそうなピンク色の唇。
      短いスカートから覗く細い脚には黒のハイソックス。
      真っ白な身体と真っ黒な髪が対照的ですごく綺麗。



      「敏弥センセ?どーしたの?」


      「え?あ、いや、何でもねーよ!」


      「そーですか?んじゃー良いんだけど・・・」


      「そそ、お前あの点数なんだよ!こないだの実力テストの点数!」


      「ぁー・・・見ての通りです・・・」


      「冗談じゃねぇーっつーの!どーせ今回も数学だけだろ?!」


      「だって解んないもんは解んないだもん!」


      「他の教科は解って何で俺の教科だけ解んねぇーんだよ!」


      「他の教科とは違うし!数学は・・・とにかく勉強できないんですっ!」


      「しろ!今すぐ!此処で!」


      無理矢理教科書開かせてペンを握らせる。
      開いたページはちょっと前のテスト範囲。
      さほど難しくもないはず。
      てか、ほど頭良かったら普通に解けるっしょ。

  
      なのに一向にペンが進む気配がない。
      教科書を見てるようで見てない目。
      俺はそっとの顔を覗き込んだ。


      「ちょっ・・・な、何ですかっ?!」


      「どこ見てんのかなーと思って」


      「か、考え中なの!」


      「上の空って感じだったけど?」


      動かないの手を取ってみる。
      白くて細い、綺麗な指。  
      男の俺とは全然違う柔らかい感触。
      

      無性に口付けたい衝動に駆られる。
      真っ白な手の甲に唇を押し付けたい。
      相手は生徒なのに。


      「敏弥センセ・・・?」


      「の指、甘い匂いがする」


      「あ、調理実習でケーキ作ったから・・・」


      「ケーキ?」


      「う、うん。最後の実習だからって先生が・・・」


      「って料理出来んだ?」


      「一応、恥かしくない程度には・・・」


      「いいな・・・うまそー・・・」


      「敏弥センセって甘いもの好きなの?」


      「うん、大好き」


      「じゃー実習のケーキ食べる?」


      「・・・うん、食いたい」


      「あ、じゃー・・・」


      「ケーキじゃなくて」


      「・・・へ?」


      こんなん駄目だって解ってる。
      解ってんのに口が、身体が止まんねぇの。
      目の前のが欲しくてたまんねぇ。


      その細い身体を冷たい床に押し付けて。
      そのまま無理矢理にでも全てを奪ってしまいたい。
      無造作に捲れ上がったスカートから覗く白い脚に欲情する。
      ブラウスから覗く鎖骨に欲情する。
      

      「が食べたい」


      握った手が一気に振り解かれる。
      勢い任せに立ち上がった所為で大きな音を立てて椅子が倒れる。
      

      俺に掴まれてた方の手を護るように握る。
      一歩、二歩・・・が俺からゆっくり離れていく。
      白い脚が震えてるように見えるのは俺の気のせいじゃない。


      「敏弥、センセ・・・・?」


      ねぇ、俺がキモチワルイ?
      密室に二人っきり、この状況が恐い?
      ねぇ、俺が恐いの?


      「センセ・・・?あの・・・」


      「ダメ?」


      追い詰めた壁側。
      圧倒的な支配欲。
      壊したいわけじゃない。
      ただ、手に入れたい。


      「あのっ・・・だって私達・・・・」


      「教師と生徒、だね?」


      「う、うんっ・・・だからこんなの・・・」


      「こんなのダメだって?」


      隠されたの右手を掴む。
      今度は振り払われないように、強く。
      綺麗な指から香る甘いお菓子の香り。
      クラクラする。


      「・・・好きだよ」


      少し震える右手にそっと口付けた。
      唇を押し当てるとビクっと中指が引き攣ったのが解った。
      中指に、キス。
      親指に、人差し指に、薬指に、小指に、キスの嵐。


      好きだよ。
      教師が生徒を好きになっちゃいけないって誰が決めた?
      たまたま俺の職業が教師だったってだけじゃん。
      世間体なんて関係ない。
      好きなものは好きなんだから。


      「と、しや・・せんせ・・・?」


      「好きだよ」


      「う、そ・・・」


      「嘘じゃねぇよ。・・・コッチ見て?」


      「ゃっ・・・」


      「俺のコト、嫌い?」


      ちょっとズルイ訊き方。
      でも此処で嫌いとか言われたら、俺、立ち直れねぇって。
      教師と生徒つったって同じ人間同士だろ?
      俺、何もオカシイことしてねぇよ。


      「なぁ、答えて?」


      「嫌い、じゃ・・・ない・です・・」


      困ったように真っ赤になった顔。
      今にも泣き出しそうなの顔を見て少しだけ罪悪感。
      それでも手を離すことすら出来ねぇの。
      そこまで本気で、惚れてるから。


      「好きだよ」


      何度繰り返せば届くのかな?
      何度繰り返せば信じて貰える?
      

      の手を握る手に少しだけ力を込めた、その時。

  
      柔らかい黒髪が頬に当たる。
      唇に感じる柔らかくて温かい感触。


      キス。


      それはほんの一瞬の出来事で。
      一秒にも満たない触れるだけのキス。
      でもの唇の形が、温かさが、俺の唇に残ってる。
      

      「・・・・・・?」


      「私も・・・好き、です・・・」


      「マジで・・・?」


      「え?!冗談だったんですか?!」


      「違うし!冗談でこんなこと出来っかよ!」


      「私だって冗談で先生にこんなこと出来ないし!」


      しばしの沈黙。
      の細い身体を引き寄せて、力一杯抱きしめる。
      ただ、離したくない、離れたくない。


      愛しい気持ちだけが大きくなって。
      教師とか生徒とか世間体とかそんなの頭の隅にもなくて。
      好きな人を抱きしめてる、ただそれだけで。


      「やべー・・・かなり嬉しいかも・・・」


      「・・・センセ・・・?」


      「ん?」


      「ホントに・・・私のこと、好き?」


      顔を赤らめて俯く。
      その姿が可愛くて可愛くて。
      

      俺は黒い前髪をかきあげて、オデコに一つ、キスを落とした。
      真っ赤な耳朶を甘噛みするように口付けた。
      整った桃色の唇に、キスをした。


      「好きだよ」


      教師と生徒。
      どんだけ俺等が好き合っててもほっとかないのが世間ってもん。
      退職になってもいーやとか、そんな馬鹿なこと言わねぇよ。
      それじゃなんの解決にもなんねぇじゃん。
      俺は手に入れてみせるよ?
      も、少しだけ気に入ってるこの教師って職業も。


      「俺と付き合ったらさ・・・大変だよ?」


      「何が?」


      「だって俺、の苦手な数学の教師だもん」


      「・・・数学、苦手じゃないもん」


      「・・・はぁ?お前あの点数でよくそんなこと・・」


      「敏弥センセが悪いんじゃん!」


      「俺の教え方が悪いって?!」


      「もー馬鹿っ!先生の授業だから集中出来ないのっ!」


      「・・・はぁ?」


      「家で勉強してても先生のこと思い出しちゃうし・・・っ」      


      「それって・・・」


      俺のこと思い出して勉強できないんだって。
      ねぇ、ヤバイくらい顔が緩むんだけど。
      こんな幸せなことってあってもいーの?


      「ずっと・・・敏弥先生が好きだったってことっ!」


      愛しい君だけに特別授業。
      教えてげるよ、イイコトもイケナイことも。

    
      まずはほら一つ。
      俺の愛の深さってものを、教えてあげる。


      「俺も、愛してるよ」































      BE HAPPY・・・?

      ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

      五万打御礼リクでmaya様に捧げます。
      【特別授業の後イケナイ関係に】ってリクだったのですが、如何でしょうか?
      ちょっと敏弥先生の思考回路が犯罪チックな気がしなくもないです(笑)

      maya様のみお持ち帰りOKです★
      リクありがとう御座いました!



      20041226   未邑拝
      



      
 
     
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