悲しくさせたり不安にさせたり。
      それでも世界で一番幸せを望んどるんは、俺やから。























      HAPPY DAYS
























      と三日間も連絡が取れへんくて。
      今までこんなことあらへんかった。
      メール送ればどんなに遅なっても返事は返ってきた。
      電話やって出れへんくてごめんってかけなおしてきた。
      連絡取れへんっておかしないか?


      ・・・と思っての家に押しかけた。
      明日の入りは昼過ぎやから丁度えぇかと思て。 
      ちょっと顔見て理由聞いたら帰ろかと思て。
       

      でもベッドで寝とったの顔見て気が変わった。
      つーか、そんなわけにもいかんやろ。
      この状況やったら。


      「なぁーんで電話せぇへんねん・・・」


      「・・・ごめん」


      「アホやろ」


      「・・・天才だもん」


      「やっぱただのアホや」


      最初見たときは寝とるだけかと思ってん。
      んで覗いてみたら顔真っ赤やん?
      もしかしてと思って起こしてみた。


      「・・・いつから?」


      「・・・何が?」


      「おふざけはえぇから」


      「・・・四日前?」


      「病院には行ったん?」


      「・・・まだ」


      「・・・はぁー・・・」


      風邪かインフルエンザ。
      無理矢理熱計らせたら今んとこ37.7度。
      てことは四日前はまだ熱高かったってことやろ。


      ヒーターも点けてへんかったから冷たい床と空気。
      その中で普通より高い温度の
      少し離れた場所に放置された携帯。
      考える余地もなく簡単に想像できる四日間。


      熱にうなされて携帯出れへんかったんやろ。
      誰とも連絡取ってへんから誰にも気付かれへんくて。
      携帯も取り行けへんってことは一人で病院なんか行けるわけあらへん。
      

      テーブルの上には水が残ったグラス。
      それに中身のない薬の殻。
      多分常備薬の内の解熱剤かなんかやろ。
      飯の跡もあらへんから何も食ってへんのやと思う。
      病院も行けへん奴が飯作って洗い物まで出来るはずあらへんからな。


      「で、熱、何度まで上がったん?」


      「・・・39.6度」


      「おま・・・っ!それ尋常やないがな!」


      「んー・・・でも下がったし・・・」


      「アホかー!病院行くぞ、病院!」


      「ぇー・・・このくらい大丈夫だって」


      赤い顔してヘラヘラ笑ってみせて。
      潤んだ目でそんなことゆっても説得力あらへんわ。
      かすれた声と時折聞こえる器官がヒューヒューゆう音。
      

      熱は大分下がったゆーてもこの状態。
      こんな時間に開いとる病院って救急病院くらいやろ。
      此処から車で行ったとしても結構遠いよな?
      昼間はあったかくても夜になったら寒いし。
      せやったら今夜はちゃんと寝かせて明日連れてくべきやろか。


      うん、そーしよ。
      とりあえず汗かいとるはずやから、身体拭いて着替えさして。
      空きっ腹に薬は胃悪なるやろーからなんか食わして。
      んで薬飲まして寝かせるんが一番やんな。
      なんか立派な奥さんや、俺。


      「ねぇ、堕威ぃー・・・?」


      「んー?」


      「染っちゃうよ」


      「染らへん染らへん」


      「でもライブとか・・・」


      「今年インフルエンザの予防接種したから大丈夫やって」


      「でも風邪だったら?」


      「風邪にも効くんちゃーう?大丈夫やろ、多分」


      「・・・多分効かないと思うよ・・・」


      「だぁーいじょうぶやって」


      のデコに軽くキスをして。
      潤んだ瞳をそっと撫でて。
      ついでにデコくっ付けてみたらやっぱ熱かった。


      身体拭くタオルって洗面所のでえぇよな?
      これって熱湯で蒸らすもんやろか、ぬるま湯に浸すべきか?
      ぬるま湯やったらすぐ冷たくなるよな?
      せやったら熱湯?熱湯に付けたタオルってどーやって絞るん?
      つか左が熱湯?普通左側に回したら熱湯で右は冷水やんな?
      うんうん、とりあえず熱湯に浸けてみよ。


      ぅわっちぃ!
      これどないやって絞るん?熱いやん。
      冷ますべき?でも冷ましたら意味ないやーん。
      とりあえず先にヒーターでも点けてこよ。


      「ー?ヒーター点けんで?」


      「んー・・・」


      「部屋あったまったら身体拭くで」


      「・・・は?」


      「は?やあらへんがな。汗かいとんやからな」


      「・・・ゃ、でも・・・」


      「新しい服このクローゼット?勝手に開けんで」


      「ちょっ、自分でするから・・っ」


      「出来ひんやん。寝とけって」


      流石に下着とか出すの恥かしいんやけど。
      ここは俺が照れたらあかんよな。
      あくまで事務的に事務的に事務的に・・・頑張れ、俺。


      あんま見ぃひんようにして一番前の下着を取り出す。
      事務的に事務的に事務的に・・・頑張れ、俺。
      それから上の段からラフなパジャマを引っ張り出す。
      それだけじゃ寒そうやからちょっと厚手のトレーナーも。
      全部取り出してからクローゼットのドアを閉める。
      

      振り返ったら赤い顔したと目が合った。
      ・・・と思ったらもそもそと布団の中に潜り込んでった。
      それを横目にタオルを絞りにいく。
      最初からぬるま湯にしときゃーよかったわ。


      「?身体拭くから出てきぃや」


      「・・・ゃだ」


      「アホか。照れとる場合じゃあらへんがな」


      を布団の中から引っ張り出す。
      やっぱり熱すぎる身体。
      とりあえず布団をめくってちゃんと横たわらした。


      まずは顔から。
      擦ると痛そうやからぽんぽんを軽く叩いて汗を拭く。
      頬にかかった髪を取りながら顔を拭きあげる。


      「ほら、目ぇ閉じぃや」


      「ぅー・・・」


      「ん、えぇ子えぇ子」


      わしわし頭を撫でてやって。
      そのまんま首筋も丁寧に拭いてやる。
      ヒューヒューゆーとる喉が痛々しいわ。


      ピンク色のパジャマの釦を外していく。
      少しだけ湿って気持ち悪そうや。
      拭いたらなあかんのやけど・・・なぁ?


      「堕威っ・・・もぅいいってば・・っ」


      「あかんって。こんまんまやったらまた熱上がるやろ?」


      「でも・・・っ」


      「熱ある奴襲うほど飢えてへんって」


      「・・・一人でヌい・・」


      「黙らっしゃい」


      の頭をペシっと叩いて。
      パジャマの前を開けたら、なるべく見ないようにして身体を拭いていく。
      

      なんでこんな時に限ってノーブラやねん。
      あぁ、寝るときは付けへんって言いよったわな。
      盛っとる場合やないんは解っとるんやけど。
      好きな女目の前にしてふしだらな想像せん男がおるか?
      

      ましてやこの姿。
      紅潮した頬に潤んだ瞳、汗ばんだ肌に白い胸。
      我慢せぇってゆわれても・・・なぁ?


      「・・だ、ぃ・・・?」


      「前言撤回。やっぱ嘘や」


      「何が・・?」


      「俺、思った以上にに飢えとるわ」


      驚いた顔のに口付ける。
      の言いかけた言葉を押し返すように舌を絡める。
      動かへん舌を吸い上げて噛みついて。 
      歯列をなぞって唾液を流し込む。
      

      粘着質な音を響かせて混ざり合う唾液。
      熱があると咥内の温度も上がるんやろか?
      それくらい熱くて、軽い酸欠。


      「んぅ・・・ッ」


      一度唇を離して。
      息を吐く間も与えずにもう一度唇を塞ぐ。
      の顔を両手で挟んで抵抗させへんようにして。
      それ以前に抵抗する力さえあらへんのかもしらんけど。


      「ふぅ・・んン・・ッ」


      弱々しく俺の肩を押し返す手の平。
      名残惜しさ全開で最後に軽いキスをしながら唇を離した。
      薄く開かれた目からは今にも涙が零れ落ちそう。


      「っ、はぁ・・・ぁ・・・」


      こんなことしとる場合やないって解っとるんやけど。
      それでも身体が止まらへんくて。
      無防備に曝け出された白い肌に欲情する。
      病人だろうが何だろうが関係ない。
      が欲しいだけなんやから。


      「・・・・・・」


      デコにキスを落として胸に手を滑らせる。
      汗ばんだ肌はいつものセックスを連想させる。
      酷く、官能的。


      「んっ・・・堕威・・・ッ」


      「我慢出来そうにないわ・・・」


      「ちょっ・・・やだってば・・っ」


      「すぐ終わらすから」


      首筋から舌を這わせる。
      両手でやわやわと胸を刺激しながら突起に爪を立てる。
      心臓の辺りが赤く染まってくんが解る。
      

      「やッ・・・ちょっと、まっ・・・」


      「えぇ子やから黙って・・・」


      「んんッ・・・ぁ・・・」


      執拗に胸の突起を舐める。
      舌で突付いてみたり、甘噛みしてみたり。
      しっとり汗ばんだ肌はいつもより甘い気がする。


      投げ出された四肢が妙に綺麗に見えて。
      俺の与える刺激に小さく反応するそれ。
      力無く横たわった身体は抵抗することを止めた。
      赤く染まった頬、荒い呼吸。


      ・・・赤く染まった頬に荒い呼吸・・・
      ・・・綺麗なんやけど・・・
      ・・・ヤバいんとちゃう?!


      「っ?!」


      「・・・ぅー・・・」


      「だ、大丈夫か?!」


      「・・・ぁー・・・」


      のデコに自分のそれをくっ付けてみる。
      普段そんなことせぇへんから温度とかは解れへんけど。
      でもさっきより熱いんは確か。
      アホやん、俺!









      結局急いで身体を拭いてやって。
      下着とパジャマを新しいのんと取り替えて。
      欲情とかしとー場合やなくて。
      とにかく身体冷やさんよーに布団をかけてやった。


      熱計ったら38.1度。
      逆に熱上げてどないすんねん・・・。
      何しにきとんのやろ、俺。


      「・・・寒ない?」


      「・・・ん」


      「胃ぃ痛なるかもしらんけど、解熱剤飲んどこか」


      「・・・ん」


      勝手知ったるの家。
      冷蔵庫の中からミネラルウォーターを取り出して薬と一緒に渡した。
      冷たく冷やしすぎた水も胃には悪いんやないやろか?
      よー解れへんけど。


      「なぁ・・・ごめんな」


      「・・・何が?」


      「あんなことしとる場合やないよな・・・」


      「ぁー・・・」


      「熱上がらせてもーたし・・・ほんまごめん」


      「・・・ん」


      は何もゆわんで軽くキスをした。
      染ったかな?って笑たから、予防注射したからってゆーた。
      多分効かんってゆわれたこと、その後に思い出した。


      低いベッドの端に腰掛ける。
      薬飲んで落ち着いたの髪を思いっきり優しく撫でてみた。
      気持ち良さそうに目を閉じた顔が可愛ぇ。


      薬飲んでもやっぱり呼吸は荒くて。
      目は潤んだまんまやし顔は赤いし。
      多分、俺が思とる以上にしんどいんやと思う。
      欲情してすんません、マジで。


      「大丈夫か?」


      「んー・・・平気だよ」


      「嘘やん。えらいきつそうやんか」


      「このくらい平気だって・・・」


      「せやったら、どんくらいがしんどいん?」


      俺やったら耐えれへん。
      体温計に見たこともあらへん数字とか出てきただけで眩暈するもん。
      絶対一人で薬飲んどくとか出来ひんと思う。
      どーにかして誰か呼ぶやろうし、相手の迷惑考えとられんわ。
      

      だって恐いやんか。
      自分の身体、自分でコントロール出来ひんのやで?
      滅多に風邪なんか引かんから更に恐いわ。
      絶対一人で耐えるとか無理や。


      「俺、が苦しいってゆーとんの聞いたことあらへんわ」


      「・・・」


      「俺にはゆわれへんの?」


      電話、出れへんくらいしんどかったんやろ?
      ほんまは今だってえらい苦しいんやろ?
      せやったら我慢せんと苦しいってゆーたらえぇやん。


      「苦しいってゆーたって誰も怒らへんで?」


      「・・・平気だってば」


      
      手の甲での頬を撫でる。
      真っ青じゃないだけまだマシかもしらん。
      微熱が引かん下半身が少しだけ恨めしい。


      「俺、頼りない?」


      まぁ、病人に欲情したけど。
      欲情どころか行動にまで移したけど。
      この際自分の性欲は棚に上げることにしよう。


      「・・・違うよ」


      「心配かけへんよーにしとんの?」


      「・・・二割は」


      「じゃー残りの八割は?」


      「・・・」


      唇をなぞる人差し指がの舌に触れる。
      そのまま熱い咥内に迎え入れられて。
      前歯で指の腹を甘く噛まれた。


      「人に苦しいってゆーの、結構難しい」


      「俺にも?」


      「人の問題じゃないの、自分問題」


      「なして?」


      「頼っちゃうじゃん・・・助けてって」


      「それじゃあかんの?」


      「弱い子にはなりたくない」


      はちょっと頑丈で気丈。
      を否定する意味やなくて。
      苦しいってゆわへんのとゆえへんの、大きな違いやと思うから。


      は前者。 
      何か寂しいやんか、俺。
      力になれへんのかなぁって。
      苦しんどんの知ることさえ出来ひんやん。


      「でもな、縋ることは悪いことやないと思うで?」


      「でも、私が欲しいのはそんなんじゃないよ」


      「・・・?」


      「一人で立てるまで、待っててくれる人がいい」


      そう笑ったの顔はやっぱり赤くて。
      目は潤んで喉はヒューヒューゆーとって。
      えらい強い人間やと思った。


      たかが風邪でなしてここまで語り合えるんやろな。
      たかが風邪、されど風邪。
      を知る為の大切な日常。


      「それがしんどいってゆわへん理由の八割?」


      「んー・・・多分違う」


      俺な、が苦しんどったら助けたりたいと思う。
      縋られても重いとか思わへんし、むしろそうしてほしい。
      唯、助け方もいろんな方法があるんかもしらん。
      

      「じゃー八割は何なん?」


      「んー・・・」


      「気になるやん!はよゆえや」


      
      俺な、ちょっと考えたんやけど。
      きっとこれから俺がを傷つけることもあると思うねん。
      いや、そんなんないんが一番なんやけどな。
      人間同士やから巧いこといかんことだってあるはず。


      でもな忘れんでほしい。
      傷ついても、苦しんでも、傷つけられても、苦しめられても。
      俺等の終わりはそこじゃない。
      

      悲しくさせたり不安にさせたり。
      それでも世界で一番幸せを望んどるんは、俺やから。
     

      「堕威の顔見たら・・・苦しいのなんて忘れちゃうんだもん」


      手を差し伸べてやるだけが優しさとはちゃうんかもしらん。
      俺との心地いい違い。
      

      「・・・お手軽やん」


      「失礼しちゃうわ」


      熱い額にそっとキスをする。
      の一言でこんなんなる俺も結構なお手軽具合。
      

      「明日病院連れてったるから大人しゅー寝ときぃ」


      「・・・ん」


      「・・・添い寝はいらん?」


      「・・・ん」


      布団の端がめくられる。
      横向きに寝てくれるが好き。
      こんな幸せな日々が、これからも続きますように。
























      BE HAPPY・・・?


      ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

      相互御礼で骸ンに捧げます!
      【砂糖ぶちまけた甘い夢】ってリクだったんですが・・・如何でしょう?
      こんぺいとうを踏み潰した意味不明な話になった気がしなくもない(;´Д⊂)

      骸ンのみお持ち帰りオッケー★
      相互リンクありがとうございましたvV

      
      20050309   未邑拝
 
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