また来年が来るまでずっと。
      この先、ずっとずっとずーっと。



















      Futuer
















      「ねぇ、誕生パーティ・・・」


      「だぁーいじょうぶやって」


      「でも、途中で抜けちゃったりして・・」


      「ほとんど酔い潰れとったやん」


      俺はの手を引いて外へ出た。 
      冷たい空気が肌を刺す。


      今日は俺の誕生パーティーがあっとる。
      後輩が開いてくれたもんで、メンバーは全員参加。
      昨日も京くんの誕生日やからって誕生パーティー開いて。
      ほぼ飲み会のそれに2日連続で出るんはさすがにキツい。
      そんな長居するつもりもなかってん。


      「ねぇ、どこ行くの?」


      「どこ行きたい?」


      「・・・どこでも良いよ」


      「俺と一緒なら?」


      「・・・うん」


      「・・・」


      「え、なに?どーしたの?」


      「・・・照れるやん」


      「・・・自分が言ったくせに・・・っ」


      「なぁ、それやったら俺に付き合ってくれへん?」


      言ってみたい場所があってん。
      は行ったことあるかもしらんけど。
      テレビで見てから1回は行ってみたいなぁって。
      毎年思っとってんけど、今年こそは。


      の手を握って自分のポケットに突っ込む。
      手袋なんて持ってへんから。
      2人分の体温がポケットの中を熱くする。
      せやから冬はえぇねんな。


      あんま歩くことあらへん道。
      酒の所為かもしらんけど、妙にうかれる。
      見慣れん人の流れ。
      デートはおろか、手を繋いで歩くことさえ久しぶりで。
      右下で頬を赤くしとるに笑みが零れる。


      「さむない?」


      「だいじょーぶ」


      「鼻の頭、あこなっとんで」


      「風が冷たいのっ」


      空いた右手で鼻の頭をケシケシ擦って。
      更に赤くなったそこが可愛い。


      今日は昼間雲一つなかった所為か、夜はえらく寒い。
      アレはどないなっとんかちょっと心配。
      でも今年は早いってゆーとったし。
      なんせ昼間14℃やったらしーし。


      「ねぇ、薫の行きたいとこってどこ?」


      「んー・・・もーちょいで着く」


      「でもこっち何もなくない?」


      「こっちにしかあらへんねん」


      ポケットの中のの手をぎゅっと握る。
      俺の顔を見ずに握り返してくれるんが嬉しい。


      タクシーの乗ってもおかしない距離。
      それでも俺は歩きたかってん。
      

      タクシーやったら多分10分もかからん距離。
      でも誰にも知られたくなかった。
      俺が行きたい場所。
      俺が見たいその瞬間を知っとるんはだけで十分。

     
      ぼんやりと見える明かり。
      それを囲む塀。
      もう少し。


      「薫・・・これって・・・」


      「そ。俺、これが見たかってん」


      街の喧騒も聞こえん場所。
      月と夜が綺麗に共存する場所。


      暗闇の中、辺りを柔らかく染める光。
      反射かなんかよー解らんけど、ピンク色に見える。
      テレビで見るよりずっと綺麗や。


      「・・・梅?」


      「人ん家のやけどな」


      都会の中の大豪邸。
      日本庭園がある家やってテレビに出とった。


      正直日本庭園には興味なかってんけど、庭の梅がえらい綺麗で。
      梅の種類とかはよー解らんけど、白とピンクの2本。
      庭の端っこの方に植えてあった。


      夜になったらライトアップされて。
      淡い光なんやけど、暗闇に梅を浮かび上がらせるには十分。
      花びらに反射したようにピンク色に見える。


      「すごー・・・」


      庭は低い塀で囲んである。
      下の方は見えへんけど全然綺麗。
      

      「満開になったらもっと綺麗やろな」


      「これでも十分綺麗だよぉ」


      どこの金持ちか知らんけど、こんな庭作ってくれてありがとさん。
      梅とか桜と違ってあんま重宝されへんやん。
      昼間は会えへんこと多いし、ライトアップでもされとらんと見れへんし。
      ほんま感謝やな、誰か知らんけど。


      「あんな、俺さ、理想があんねん」


      「何の?」


      「未来の」


      前をあけたままのジャケット。
      それを綺麗に着せ直して上から一個ずつ釦を閉める。
      子供みたいに大人しゅーされるがままの


      「家ほしいねん」


      「今だってあるじゃん」


      「そんなんやなくて、一戸建てで」


      「マイホーム?」


      「そうそう。東京やなくてもえぇねん。とにかくどっかに」


      過ごしやすい場所がえぇ。
      便利とかそんなんやなくて、リラックスできる場所。
      例えば自然が多いとことか。


      「そんでな、庭がほしいねん」


      「庭?」


      「ん。梅の木植えたい」


      日本庭園とかそんなんやなくてえぇねん。
      小さな庭があって、そこの端っこの方に1本。
      出来れば色はピンクがえぇな。


      「何で梅がいいの?」


      「綺麗やん」


      「それはそうだけど・・・桜の方がメジャーじゃない?」


      「桜も綺麗やけどな、なんかえらい豪華やん?」


      「梅は?」


      「慎ましやかで、見よって落ち着くやん」


      「・・・薫らしい」


      「そーか?」


      「そーだよ」


      が背伸びして頬にキスをした。
      髪を短くしたらキスしやすくなったねってゆわれたこと思い出した。


      梅は寂しい感じがする。
      どんだけ満開になっても桜と比べれば寒々しい。
      それは季節の所為かもしらんけど。
      

      でも梅は好き。
      冬が終わって春が見え隠れする。
      そんなときに咲く花やからかもしらん。


      「あとな、庭で子供と三輪車乗んねん」


      「三輪車?!」


      「えぇやん。休みの日はそこで遊んでやんねん」


      「いいパパになれそうだねぇ」


      「おぅ。せやからお前はえぇママになれよ?」


      「・・・私?」


      「以外誰がおんねん」


      「ぇ、だって・・・」


      「ゆーとくけどな、子供は似の女の子やで?」


      梅の花が咲き誇る、そんな季節。
      少しだけ語ることを許された未来。


      「なんや、不満か?」


      「・・・そんなわけない・・・ッ!」


      「一戸建て、独りで住むわけにはいかんやん」


      「・・・うん」


      俺の理想の未来には必要不可欠やねん。
      拒否させるともりもあらへんから。


      「でもね、薫・・・」


      「なに?」


      「娘にメイクだけは教えないでね・・・」


      「はぁ?!」


      「娘にメイク教えるの、私の夢なの」


      少し潤んだ瞳で作った笑顔。
      やっぱ子供は似やったらあかんかもな。
      可愛すぎて変な男共が寄ってきたら大変やわ。


      「・・・変なこと教えんなよ?」


      「・・・薫に言われたくない」


      風が冷たいから。
      の身体を自分の腕の中に閉じ込めた。
      

      できればずっとこんな日が続けばえぇと思う。
      これから死ぬまでずーっと続けばえぇと思う。
      これ以上も望んだりしぃひんから。


      「あのね・・・」


      「んーどした?」


      「この先何回も2月17日は来るじゃない?」


      俺を見上げるの頬はまだ赤くて。
      右手でそっと頬に触れてみる。
      あったかい。


      「他の日どれだけ一緒にいれなくても、その日だけは一緒にいようね?」


      「うん」


      「この先ずっと、傍にいてね?」


      「俺が?」


      「嫌?」


      「が俺の傍におるんやないん?」


      「薫が私の傍にいるんでしょ?」


      梅の木が風に揺れる。
      まだまだ花が散ることはない。


      「薫・・・誕生日おめでとう」


      「ありがとな」


      一緒におろな?
      梅が散るまでずっと。
      梅が散ってもずっと。
      また来年が来るまでずっと。
      この先、ずっとずっとずーっと。




















      





      BE HAPPY・・・?

      ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

      薫さんが梅好きかどうか知りません、ごめんなさい(;´Д⊂)
      いっつも酷いことゆってるけど、好きです、薫さん!
      これからも素敵な貴方でいて下さい。

      ★☆HAPPY BIRTHDAY TO KAORU☆★

      少しでもお気に召しましたら感想下さると嬉しいです(*´∀`*)


      20050217  未邑拝
      






 

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