永遠とか信じてへんけど、この時が永遠やたらえぇなと思った。
      そんな事思ったんはが初めてで。
      この想いも永遠やったらえぇなと思った。


















      NDLESS  OVE




















      「堕威!見て見て!」


      「お、おい!袖引っ張ったら伸びるやろ!」


      「綺麗だねぇ」


      「引っ張るなっちゅーねん!」



      が無遠慮に指差す方を見ると、そこには真新しい教会。
      ぎょうさんの人の中を嬉しそうに歩く新郎新婦。
      そら綺麗なもんで。
      前でピンクのドレス着た子供が花を撒き散らしよった。
       


 
      「花嫁さん綺麗だねぇ」


      「せやなぁ」


      「結婚式ってどんな気分なのかなぁ?」


      「やっぱ嬉しいんとちゃう?」


      「誰が?」


      「本人等とか親戚とか全部」


      「そっかぁ。幸せになれるといいね」


      「誰が?」


      「みんなだよ」



      あぁ、せやった。
      には家族って言える人がおらんねん。
      子供の頃に両親亡くして施設暮らしやったらしいし。
      高校から一人暮らし始めて、今までずっと独りやってんよな。
      詳しい事はよう知らんけど。
      不用意に立ち行っちゃあかん気がして聞けへんねん。
      


      それを思えば幸せを願うの気持ちが妙に納得できる。
      それと同時に何とも言えへん気持ちになるんも確か。
      可哀相やとか同情しとるわけやないけど。
      勿論今までの生活が辛かったわけやないとは思う。
      せやけどやっぱり・・・独り・・・って感覚は消せへんのかな。


 
      「なぁ、・・・嫁、なりたない?」


      「急にどうしたの?」


      「俺はええで」


      「堕威お嫁さんになりたかったの?!」


      「何で俺が嫁やねん!」



      あぁ・・・の阿呆。
      何で漫才しとんねん、俺等。
      もうちょいマシな言い方出来ひんのかな、俺は。
      一生俺について来い!とか一緒の墓に入ってくれ!とか・・・
      あかん、絶対引かれるわ。
      


      ちゃうねん、俺の言いたいことはもっと大切な事やねん。
      軽い気持ちで言うとんのやない。
      ましてや同情でもなんでもない。
      の中の、独りや、って感覚は俺にとっても悲しいもんで。 
      俺がおる言うても所詮は彼氏っちゅう他人や。
      やっぱ寂しいやん、そういうの。
      独りやないって事、実感してほしいねん。
      俺が実感させたりたいねん。
      俺の傍で、感じて欲しいねん。



      「・・・俺んとこ、嫁にきぃへんか?」


      「・・・堕威・・・?」


      「俺、お前の家族になりたいねん」


      「・・・ぁ・・・」


      「嫌か?」



      道を挟んで向こうの通りはえらく華やか。
      綺麗に並べて植えられた桜が咲き零れる。
      風が吹くたびに花びらが舞い上がっての言葉を隠す。
      俺、ここで断られたら立ち直れへんかも・・・。
      めっちゃプロポーズしとるし。
      もしかして嫁に来いとか古すぎたんやろか?!


  
      「堕威が・・・家族になってくれる、の・・・?」


      「せや、嫌か?」


      「嫌・・・なわけない・・・嬉しい・・・」


      「何泣いてんねん、可愛い奴っちゃなぁ」



      俺は突然泣き出したをきつく抱きしめた。
      涙が流れへんように胸に頭を押し当ててやって。
      が俺の俺の背中に腕を回して服を握り締める感覚。
      伸びるっちゅうねんけど・・・細かい事はまぁええわ。
      俺はそないに泣きいやと頭をポンポンと叩いた。



      「絶対・・・一生離さないからねッ・・・!」


      「それ男の台詞やん!」


      「絶対・・・絶対幸せにするから・・・ッ!」


      「それも俺の台詞やっちゅーに!」


   
      
      おめでとうとかお幸せにとか、全部俺等の為に聞える。
      風に乗って舞い上がる桜も全部俺等の為。
      鳴り響く教会の鐘の音は間違いなく俺等も祝福してくれて。
      神様なんて信じてへんけどちょっとだけ、神様おおきにって思った。
      



      「なぁ、俺等も結婚式せぇへん?」


      「結婚式?」


      「せや。折角教会もあるんやし、な?」



 
      俺はの腕を引っ張ってそのまま教会の方へ足を進めた。
      やっぱ新郎新婦の参列者が多くてさすがに中には入れへんかってんけど。
      すれ違う人に軽く会釈しながら教会の裏までを連れてきた。
      


      そこはどこから飛んで来てるんか解らへんけど凄い桜の花びらが落ちとって。
      地面は薄紅色、桜の絨毯みたいや。
      教会の裏の壁には綺麗なステンドグラスがあった。
      中からも見える・・・と言うかむしろこっちが裏側なんやろうけど。
      真ん中にマリアがおって、上には小さい天使がおる。
      それらを照らす黄色い光は祝福あれと言わんばかり。
      太陽が反射してキラキラ眩しい。



      「うわぁ〜・・・きれぇ〜・・・・」


      「ほんまやな。さすが神様のおる場所やな」


      「嘘吐いたてもすぐにバレそうだよね」


      「ほな、嘘吐かんと正直に答えてな」



      俺はステンドグラスを左にと向き合った。
      神父はおらへんから証人は神様だけやな。
      なぁ、?俺確かにお調子者やけど、冗談でこんな事出来へんで?
      軽い気持ちで結婚しようなんて言えへんから。
      が大事やし、今以上一緒におりたいねん。
      俺な、とやないと幸せになれる自信ないねん。
      だってな、俺の幸せの定義は【が幸せである事】やから。
      嘘やないで?



      「貴女は俺を愛し、一生傍におってくれる事を誓いますか?」


      「・・・はい、誓います」



      言葉ちゅうのは儚いもんで。
      色も形も無くて発してしまえば何も残らへん。
      そんなもんの中に制約とか責任とか重っ苦しいもんは存在しとって。
      でも、それさえも目には見えへん。
      そんな不確かなもん。



      「貴方は私を愛し、一生傍にいてくれる事を、誓いますか?」



      「はい、誓います」



      それでもやっぱ言葉は重いねん。
      ちゃんと一言一言に意味があって、その中にはいろんな想いが込められとるから。
      それは苦しいんやない、心地ええ重み。
      言葉自体が忘れられてもその中の想いだけは色褪せへんって思う。
      確証はあらへんけど・・・とりあえず希望。



      「ほな、誓いのキスを」



      俺は目を閉じたの頬をそっと撫でて優しく口付けた。
      言葉に込めた想いがどこか飛んでいかへんように、唇での中に閉じ込める。
      キスっちゅうより誓いの儀式みたいやな。
      唇を離すと真っ赤になったの目から涙が溢れた。



      「今日泣きすぎやって」


      「ぅ〜・・・だって・・嬉しいんだもん・・・」


      「嬉しいならもっと嬉しそうな顔しなサイ!」


      
      そう言っての頬を引っ張ってやった。
      泣きながら笑うは今まで見たどの顔よりも可愛くて。
      改めて好きやなぁって思った。



      「な、左手出して?」


      「・・・?」


      
      俺は自分の指輪から指輪を外しての左薬指に嵌めた。
      白くて細っこい手首、小さいけど長くて綺麗な指。
      の細い指には俺の指輪は少しデカ過ぎみたいやねんけど。
      俺のモンだって印。



      「指輪まだあらへんから・・・俺ので悪いねんけど」


      「・・・・」


      「とりあえずココ、予約しとくから」


      「堕威・・・どうしよう・・・・」


      「何が?」


      「私・・・嬉しすぎて死んじゃうかも・・・」


      「が死んだら俺がの分まで頑張って生きたるから安心せぇ」


      「・・・普通一緒に死んでくれるとか言わない・・・?」



      俺は笑いながらもう一度を抱きしめた。
      が死んだらな、俺、きっと生きていかれへんよ。
      でもそんな事言うん、カッコ悪いやん?
      女々しい男やと思われたくないねん、にだけはな。
      俺等これから家族になるんやで?今以上に頼りがいのある男になりたいやん。
      


      でもな、未来の保証は出来へんねん。
      絶対幸せにしたるとか苦労はさせひんとか寂しい思いはさせひんとか。
      勿論努力はするけど保証は出来ひん。
      極端な話、俺がいつまで生きとられるかさえ解らへんのやで?
      いや、これは話が飛びすぎか?先見過ぎかも。
      俺、こんなんやけどな、確証はあんねん。
      俺等が絶対世界一の家族になれるっちゅう確証にも似た予感。



      「ねぇ、堕威・・・もう一回アレ、聞いて?」


      の子供の頃の寂しさとか全部埋めてやれるとか思ってへん。
      そないな事出来へんし、しても意味ないと思うねん。
      過ぎたことはしゃあないし、俺の口出しできる領域じゃない気もするし。
      せやけどこれからはちゃうやろ?
      俺の中にがおるみたいにの中にも俺がおって。
      一緒の時間を過ごしてく中で笑ったり怒ったり、寂しゅうなる暇ないかもな。
      


      「俺と、結婚してくれませんか?」


      「はい」



      永遠とか信じてへんけど、この時が永遠やたらえぇなと思った。
      そんな事思ったんはが初めてで。
      俺はを愛しとるし、も俺を愛しとる。
      この想いも永遠やったらえぇなと思った。
      
























      BE HAPPY・・・?




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      久々にこんなに甘い話を書いた気がします。
      てか、題名が本当に思いつかなかったんですよ!
      センスないベタな題名で恥かしいです・・・本当に。
      私いろいろとセンスないんですよ、美的センス?切ないです。




      20040407   未邑拝








      
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