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願いが叶わないなら明日なんていらない。
絶望しかない明日ならいらねぇよ。
明日に変わる
願
い
ベッドの中が一番好き。
布団を頭まで被れば視界は強制的闇。
聞こえるのは自分の息遣いとシーツが擦れる音だけ。
フワフワあったかくて気持ちいい。
俺を傷つけるもんはなんもない。
立ち向かうって言葉は好きじゃない。
敵って言葉が好きじゃないから。
傷つけるのも傷つくのも好きじゃない。
逃げることだけが巧くなってく。
独りで過ごす夜は十三回目。
君の温度を覚えた身体は酷く冷えています。
指先は冷えきって腐れ落ちそう。
手繰り寄せた毛布は君の匂い。
心臓の辺りが冷たくて堪りません。
「、お前寝相悪すぎ!」
「うそー?」
「マジ。何回自慢の腹を蹴られたことか・・・」
「ふ、不可抗力だよっ?!」
「いーや、アレは恨み篭ってたね」
「込めてない込めてない!」
「ほら、目の上とか痣になってんだって」
「うそっ?!だ、だいじょう・・・ッ!」
前髪をかきあげて顔を近づける。
その細い手首を引き寄せてそのまま口付けた。
固く閉じられた唇。
優しくなぞると緩む口許。
その隙間から舌を差し込んでのそれと絡めた。
あったかいベッドの上。
自然と重なる身体が愛しかった。
誰にも邪魔されない二人だけの空間。
時間はゆっくり流れて、甘い色が漂ってた。
「う・そ」
「・・・ほえ?」
「目の上痣とか出来てねぇもん。ほら、ね?」
「・・・敏弥のばかぁー!!」
「いたっ、ちょ、痛いって、マジマジ!」
「天罰!嘘吐く方が悪い!」
「ちょ、ごめっ・・・でも腹蹴られたのはホントだって!」
笑ってじゃれ合って。
永遠なんてないって解ってても願ってしまう瞬間。
愛しかった。
唯々、愛しかった。
時々、俺のこの感情がを壊すんじゃないかと思った。
好きで、好きで、大好きで。
自分の感情すら手に負えなかった。
ずっと全てが嫌いだった時期がある。
何に対してか解らない、漠然とした不安。
誰にも話せなくて、辛くて、苦しくて。
自分以外の人間は全て敵で信用なんて出来なかった。
裏切られるのが恐くて自分から裏切った。
自分がどれだけ弱いか、俺は知ってる。
信じたものが崩れるその時、俺は正常じゃいらんない。
だから最初から大切なものなんていらないと思ってた。
「信じろって言ったの・・・じゃん・・・」
そんなの悲しすぎるって。
初めて俺の為に泣いてくれた人。
俺の為だけに流れた綺麗な涙。
初めて俺の涙を真正面から受け止めてくれた人。
「俺さ、だから信じられたんだ・・・」
失えない。
永久不変なんてない中で、初めてそう思った。
護ってあげたい。
弱い自分が酷く腹立たしく感じた。
それくらい、君を愛してたんだ。
「んっ・・・やぁっ、ソコ、や、だぁッ・・」
「ココがイイんだ?」
「ひゃあぁッ・・・もっ、いじわ、る・・・っ!」
「好きな子は虐めたくなる主義なんだもーん」
何度も何度もキスをして。
熱に浮かれる身体を何度も何度も犯した。
甘く乱れるベッドの上。
不自然なまでに重ねあった身体が愛しかった。
柔らかい身体を組み敷いた瞬間、全てを手に入れた気がした。
首に腕を回された瞬間、全てを受け入れてもらえたような気がした。
「と、しやぁ・・・」
「ん?」
「ねぇ・・・キス、してぇ?」
髪をクシャクシャと撫でながら重ね合わせた唇。
求めるように頬に手を添えて絡めあった舌。
零れる吐息と唾液が透明に混ざり合う。
濡れたシーツが少し気持ち悪くて。
それでも脚を絡めて抱きしめあった。
「ねぇ・・・敏弥・・・?」
「どーした?」
「好き、だよ・・・」
「ん・・・俺も・・・」
時が止まってしまえば良いのに、って。
そう笑ったのは俺だったかだったか。
もう、よく思い出せないよ。
二人で寝るには小さいベッド。
独りで寝るには大きすぎるベッド。
俺の手の中にあるもの全てが、の形。
二人で過ごすために作られた空間。
だから独りで過ごすには痛すぎて。
例えばクッションとか。
俺のが青でのがピンク。
床に転がったピンクのクッション、他に誰が使うんだよ。
棚に並べられた変なサボテン。
が嵌まって集め出してもう七個。
俺独りじゃ水すらあげらんねぇよ。
いたるところの形が残ってる。
それは俺を戒める為でもあり、希望でもあり。
唯、息苦しくなる。
「眠れ、ねぇよ・・・」
毎日ベッドの中で考える。
もっといい子にしてたら俺にも魔法使いが来てくれるかも。
よくが聞かせてくれたお伽話。
一生懸命頑張ってる人の願い事はきっと叶うって。
俺、一生懸命頑張ったよな?
すげー頑張ったよ、独りで頑張ったよ。
魔法使いが来たら、頼みたいことがあるんだ。
時を、止めて下さい。
時を戻して欲しいなんて思わない。
あんな楽しい時間、もう二度といらない。
あんな幸せな時間、もう二度といらねぇよ。
幸せにたゆたってた自分は滑稽だ。
いつの間にか人を疑う心を忘れてた。
自分を護れるのは自分だけだってこと忘れてた。
こんな苦しいなら出逢わなきゃ良かった。
こんな辛いなら出逢わなきゃ良かった。
吐き気がするほど泣いて、泣いて、泣いて。
死んだほうがマシだと思った。
こんな日がくるなら、出逢わなきゃよかった。
失うくらいなら、初めから愛さなきゃよかった。
「・・・なんて・・思えるわけ・・ねぇよ・・・」
時間を戻してください。
時間を戻してください。
時間を戻してください。
お願いだから。
お願いだから。
お願いだから。
時間を戻してください。
時間を戻してください。
時間を戻してください。
「なんで・・・時間、戻んねぇんだよ・・・ッ!」
初めてだったんだ。
初めてこんなに愛しいと思った。
初めて、初めて、ホントに初めてだったんだ。
大好きだったんだ。
ホントに、ホントに大好きだったんだ。
これから先ほど愛せる人なんていないって思った。
心から、愛してたんだ。
どうか神様。
魔法使いでも仏様でも誰でもいい。
お願いだから時間を戻してください。
もう一度に逢わせてください。
じゃなきゃ俺、寂しくて死んじゃうよ。
願いが叶わないなら明日なんていらない。
絶望しかない明日ならいらねぇよ。
がいたから意味があった「これから」。
寝ても覚めてものことしか考えらんない。
心も身体も記憶さえも、のいない明日を拒絶する。
「・・・」
神様、仏様、魔法使い様。
のいる明日を下さい。
愛しい人が傍にいる日々をください。
愛する人と過ごす日々をください。
独りで過ごす十四回目の朝が来る前に。
BE HAPPY・・・?
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何となく『嘘に笑い嘘に泣く』の続きの様な気持ちがあるようなないような<どない
私的に書きにくい御題ベスト5に入ってるこの御題。
まさか記念すべきサイト1周年記念の際に書くことになるとは(笑)
そうなんです、今日でサイト1周年です!
飽きっぽい私がこの日を迎えられたのは皆様のおかげです、本当に。
ありがとう御座います!そしてこれからもよろしくお願いします★
20050123 未邑拝
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