欲しかったのは、その身体。
      























      甘い唾液























      「舐めて。」


      半ば立ち上がった自身をの口許にすり付ける。
      目に涙を溜めて目を背ける
      嫌がっても無駄なこと、知っとるくせに。


      恐る恐る自身に舌を伸ばす。
      もどかしいこの瞬間が一番好かん。
      

      「はよ・・・」


      の頭を自身に押し付ける。
      柔らかい口内に包まれる感覚。


      「ん・・・っ」


      ヌルヌルと絡みつく舌。
      何よりもあったかい。

 
      こうやっての中に包まれとるときが一番好き。
      どんな時より愛を感じる。


      重苦しい言葉なんかいらん。
      どこまで信じられるか判れへんから。


      それよりもっと甘美な行為を。
      目に見える愛情がほしい。
      身体で感じられる愛情がほしい。
      たとえそれが嘘でも、信じられる気がするから。


      「ん・・・ぁ・・・っ」


      「もっと深く。」


      ソファーに身を沈める僕の脚の間で揺れる頭。
      それをそっと撫でてみる。
      少し大きなペットを飼った気分。


      「し・・・やぁ・・・?」


      「続けて。」


      今にも溢れそうな涙。
      潤んだ目で見つめられると、それだけでイきそうになる。
      酷いこと、しとる気分になるから。


      自身に絡みつく唾液。
      粘着質な音が部屋中に響く。
      やけに大きく聞こえる音。
      それも、の吐息に掻き消される。


      「ぅん・・・む・・・っ」


      「っ・・・えぇよ。」


      「んんっ・・・ぁ・・・」


      裏筋を舐められ、身体が震える。
      最初はぎこちなかった行為。
      それも今じゃ。


      「巧なったな。」


      「ふっ・・・し、ゃ・・・」


      「誰が口離してえぇってゆった?」


      「ぁ・・・ごめ・・・っ」


      の小さな口に再び自身を押し込む。
      今度は少しも拒絶せずに受け入れてくれる。


      どうやったって手に入らん人。
      俺んことなんかこれっぽっちも見てへん人。
      俺の気持ちなんか考えてもくれへん人。


      でもこの瞬間だけは、俺んこと見てくれる。
      俺のものにした気になれる。
      

      抱きたいわけじゃない。
      唯、お互いを満たす行為がしたいだけ。
      唯、に包まれたいだけ。


      「ぅ・・・ぁ・・・っ」


      の頭を引き寄せ、深く咥え込ませる。
      僕を追い出そうと動く舌が絡みつく。
      あったかい口内に自然と腰が動く。


      「ねぇ・・・僕が好き?」


      愛されたいわけじゃない。
      愛したいわけでもない。


      好きになって苦しいんは嫌。
      もどかしい感情に支配されたくない。
      だから好きなんかいらん。


      きっと好きになったら、独占欲に狂う。
      誰にもゆわれへんでオカシクなる。
      離れると不安で、がおらんと駄目になる。
      そんなんになりたない。


      上手な愛し方を知っとけばよかった。
      想いの伝え方を知っとけばよかった。
      感情の押さえ方を知っとけばよかった。
      今更どーしたらえぇんやろ。


      「ねぇ・・・好き?」


      咥えきれへんかった部分をの細い指が擦りあげる。
      爪が当たるとチリっと走る痺れ。
      もう限界が近い。


      「ふっ・・・ぅあ・・・っ」


      の頭を両手で掴んで、腰を揺らす。
      小さな口に僕のんが出入りしよんのがイヤラシイ。
      

      僕の律動に合わせて動く舌。
      は眉を顰めながら息を漏らす。
      限界が近い僕にとってはそれさえも快感の糸口。
      それを離さんよーに自身で口内を蹂躙する。


      「も・・・出すで?」


      「っ・・ん・・ぁっ」


      先の窪みに舌を入れられ、押し開くように注がれる快感。
      故意に歯を立てられての髪を強く掴む。
      強く先を吸われると、もう射精のことしか考えられんよーになる。
      はやくこの熱を吐いてしまいたい。


      「・・・っ!」


      が先を吸うのに合わせて腰を打ち付ける。
      そしてそのまんま、の口の中に吐精した。


      出来る限り喉の奥の方に。
      の顔を自分の下半身に強く押し付ける。
      一滴も、零させんように。
      全部、飲み込ませるように。


      数回に分けて吐き出した精。
      はきつく目を瞑って、それを飲み下した。


      僕の前で荒い息を吐く
      僕は射精の余韻に浸りながら、その額に口付けた。


      「ん・・・はぁ・・・」


      こんなことして何になるんやろか。
      そんなこと、もう何十回も考えた。
      でも、どうしようもない。


      がほしいわけやない。
      の気持ちがほしいわけやない。
      そんなもん貰っても重いだけやから。


      やから僕もが好きやとか思わん。
      口が裂けてもそんなことゆえへん。
      そんな重苦しいもん、抱えたくない。


      恋に狂いたくない。
      そんな惨めな姿、誰にも見せられへん。
      僕の中ですら収集つかん感情を抱えたくない。
      そんな不安定な自分が許せへんから。


      「し・・んや・・・?」


      涙目で僕を見上げる
      次に与えられる快楽を心待ちにする姿。
      この上なく魔性。


      ソファーから降りて、の前にしゃがみ込む。
      熱に浮かれる肌が悩ましげ。


      の顎を掴んで上を向かせ、その唇にキスをした。
      僕のんを咥えた所為で顎が麻痺しとるみたいで。
      開きっぱなしの口から唾液が零れ落ちる。


      「・・・僕のことが、好き?」


      欲しかったのは、その身体。
      欲しかったのは、その心のイレモノ。
      

      心なんかいらん。
      そんなもんいらんから、身体だけ頂戴?
      僕のものにしたいわけやない。
      一時でえぇ、その瞬間だけで十分やから。


      その瞬間だけ、愛されてるって勘違いさして。
      愛しい人をこの手に抱いとるって錯覚さして。
      至福の喜びに浸る夢を見して。
      僕には、それで十分。


      「・・・好きだよ。」


      そう言って、はもう一度僕に口付けた。
      零れる唾液が混ざり合って、服に沁みを作った。
      どっちの唾液か判らんくらい、激しく、激しく。

   
      甘い唾液はいつも甘い嘘を吐く。
      夢心地に漂っては、その嘘に浸る。
      

      目を開いたまま、甘い唾液に溺れる。























      BE HAPPY・・・?

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      久々の心夜夢です。果たして彼である必要性はあるのか・・・。
      「甘い唾液」=「エロ」なイメージが、百題作ったときからありました。
      だから、絶対に人とは違うものを書く!絶対エロにはしない!と誓ってたのに・・・
      私の脳味噌は所詮こんなもんですたい(白目)

      お気に召しましたら感想くださると嬉しいです。


      20050827   未邑拝



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